香山
今、いろんな分野でシリアスゲームを
積極的に使っていこうという動きはあるんですか?
河合
ありますね、国際的にも。
アメリカでは、一つの産業分野といえる規模に達しているようです。
ヨーロッパでは、地域のコンテンツ産業振興政策と
産学官の連携に特徴がある。
日本も近年では、半分シリアスというか、エンターテインメント+特定用途という形のソフトが増えているので、
「シリアスゲーム」という意識は希薄ですが、
身近になってきているとは思います。
香山
私はエンターテインメントとしてゲームが好きなので、
こんなこと言ったらすべて台無しですけど、
ゲームが人によかろうはずがないと思うわけです(笑)。
勉強時間も奪われるし、夢中になりすぎるのもよくないですけど、
でもそれを堂々と言っちゃっても私はいいと思うんですが……。
渡邊
遊びが遊びである、ゲームがゲームであるためには、
隠したいというところがないとダメかなと思いますね。
やっていることを人に誇れるようだと、
それはもうゲームじゃないんじゃないか。
香山
昔はゲームセンターにもよく行って、自分はカネをドブに捨てている、すごい潔い人間なんだと思い込んで(笑)。
渡邊
もちろん、戦略としてシリアスゲームを前面に押し出していくのは、必要だと思うんですよ。
ただ、あえてゲームの方から教育に近づく必要はなくて、
教育の方がゲームのもつ利点を引き取る
という形のほうが健全ではないか。
エデュテイメントってまさにそういうことだと思うんです。
河合
Wiiみたいに、実際の身体動作を伴うゲームが受けているのも、
時代というか関わり方が変わってきているのかもしれませんね。
香山
ソムリエシステムも、初期のゲーマーは勧められたらやらないと思う。
自分で発見したゲームなら、人からいくらクソゲーと言われようが自分は面白いとやり通す。
でも今の子たちは、
勧められれば普通にやっちゃうのかもしれない。