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河合
われわれの初期のコンセプトにあったのが、
「ゲームのソムリエ」システムです。今日はゲームがしたいけれど、
どのゲームをすればよいかわからないという時に、
その時点で最適なものを提案してくれるシステム。
渡邊
その応用の利かなさは、かなりはっきりしていて驚きですね。
香山
それこそ処方箋ですね。
河合
他にも、渡邊さんが担当されたゲームの認知科学的な評価というのも、初期のテーマの一つでした。
渡邊
ゲームのつくり手の方の問題ですね。
プレーヤーの眼球運動を計測して、ゲーム画面のどこまでを見ているのかを調べるシステムを使って、
プレーに必要な有効視野をいろんなゲームで調べてみたんですね。
『パックマン』のような完成度の高いゲームは、
あらゆる要素が計算し尽くしたようにきちんと配置されているんですが、適当にやられているゲームだと、
情報の配置の仕方にムダが多い。
やはりつくる側にも処方箋が必要だろうと思ったわけです。

香山
Wiiみたいに家族で楽しむゲームも出てきたり。
渡邊
あの方向性はうまかったと思いますね。
ゲームって、傍から見ると何をやっているのかわからなくて、共感を得にくい。
それがたぶん、親や家族はイヤなんだろうなと。
Wiiは体を動かしているから、今テニスやってる、
卓球やってるとわかるというのがポイントで。
それがゲームとスポーツの分かれ目だとすれば、
Wiiみたいにプレイしている自分を他人に見せるという
アプローチから突破口が開かれる可能性はあるでしょうね。
香山
でもそれによって失ったものもありますよね。
最近、ゲームをオリンピックにしようと活動している人たちがいるでしょう。
河合
エレクトロニックスポーツ(eスポーツ)ですね。
シューティングゲームやストラテジーゲーム、
スポーツゲームなどを使ったさまざまな大会が、
国際的な規模で開かれている。
香山
ゲームが普及するのは結構なことだと思いますけど、
それは純粋なゲームの楽しみ方とは違うような気がする。

河合
ゲームをプレーするレベル、あるいはゲームとの関わり方そのものが違うところにあるんでしょうね。
余暇でやるのと競技としてやるのでは相当な差がある。
渡邊

僕は人に見せたいというのもありましたけど(笑)。
今はゲームをやっていても、誰ものぞき込んで語りかけもしないし、興味ももってくれない。
昔はゲームやってて気持ちよかったんですけど、
今はそれほどでもないのは、そういう理由もあるのかもしれない。