「つくばチャレンジ2010トライアル走行」レポート
~64ティーム中31ティームが約240mのトライアル走行に成功
つくばチャレンジは、自律型ロボットが実際に人が生活する「実環境」の中で、「安全かつ確実に動く」ことを目指す技術チャレンジだ。第1回つくばチャレンジは、2007年11月に開催され、今回のつくばチャレンジ2010で4回目となる。つくばチャレンジは、トライアル走行とファイナル走行に分けられ、トライアル走行をクリアしたティームのみが、翌日のファイナル走行に挑戦できる。ここではまず、11月18日におこなわれたトライアル走行の様子をレポートする。
●トライアルの距離が約240mに延長
つくばチャレンジは、ロボット技術を向上させるために行われている技術チャレンジであり、その趣旨の元、毎年課題の難易度が上がっている。トライアル走行は、ファイナル走行のコースの一部(スタートから途中まで)を用いて行われるが、2007年と2008年の2007年と2008年のトライアル走行の距離は約100mであった。昨年はトライアル走行の距離が約140mに延び、今回はさらに約240m(実際は244m)と大きく延長された。また、コースの路面状況のバリエーションも増え、課題の難易度はさらに上がったといえる。
開会式に先だって、安全管理責任者ミーティングが行われた。大会委員長の油田教授からは、「安全管理責任者は、周囲の安全に気をつけるのはもちろんだが、余裕があったら、観客に説明するなど、広報的な役割も果たして欲しい」というコメントがあった。
つくばチャレンジでは、2008年からインターネットでのオンライン生中継が行われていたが、今年は新たな試みとしてUstreamによるビデオ映像配信とTwitterによるテキスト配信が行われた。Ustream配信にはiPhone 4が用いられており、その高い機動性を活かして、つくばチャレンジの状況を的確に中継していた。
つくばチャレンジ2010のコース。トライアルの距離は約240mで、ファイナルの距離は約1.1kmである
開会式に先だって、エキスポセンター屋外広場で安全管理責任者ミーティングが行われた
つくばチャレンジ2010では、新たな試みとしてUstreamによるビデオ映像配信とTwitterによるテキスト配信が行われた。Ustream配信には、数台のiPhone 4が用いられた
●1回目の走行で26ティームが達成
午前10時に開会式が行われ、大会委員長の油田教授が挨拶を行い、「現在のロボットは自動的に道を考えて進む段階ではなく、その前の段階、つまりコースは前もって与えられており、そのコースに従って進んでいくという段階だが、このはじめの一歩が非常に重要だ。今回はロボットにとってはかなり難しい課題であり、ロボットの健闘を祈りたい」とコメントした。
開会式終了後、順次トライアル走行がスタートした。前述したように、今回のトライアルのコースは約240mで、スタート間隔は3分である。スタートの合図があった時点から、タイムの計測を開始し、5分以内にスタートできないと失格となる。また、トライアル走行の制限時間は25分間で、スタートの合図から25分以内にトライアルのゴール地点に到達しなくてはならない。つくばチャレンジ2010のエントリーティームは合計70だが、途中で出場を棄権したティームや、当日棄権したティームもあり、実際にトライアル走行にチャレンジしたのは、全64ティームである。
つくばチャレンジも今回で4回目となるため、参加ロボットのレベルが格段に上がっており、距離が約240mに延びたトライアル走行も1回目で26ティームがクリアした。今回のコースは、平日でも人や自転車の往来があり、ロボットのすぐそばを自転車が通り抜けていくシーンも見られた。
午前10時に開会式が行われ、大会委員長の油田教授が挨拶を行った
最初にスタートしたのは、早稲田大学TARO-GPティームの「JIRO」
順調にコースを進むJIRO
最初に走行したJIROが見事にトライアル達成。タイムは4分2秒とかなり速い
電気通信大学知能システム学講座ティームの「CARTIS TypeR」も、1回目の走行でトライアルに成功。タイムは5分16秒だ
日立製作所機会研究所ティームの「Sofara-T」。高速で安定した走行で、トライアルを達成。タイムは3分49秒で最も速かった
OSHINOBI(京都大学、電気通信大学)ティームの「ぎんかくん」も1回目の走行でトライアルに成功。セグウェイベースのロボットだ。タイムは6分38秒
東北大学田所研ティームの「anemone''」。前回のファイナルを完走した実績を持っており、今年も1回目の走行でトライアルを達成。こちらもセグウェイベースのロボットだ
つくばチャレンジは、実際に人や自転車などが往来する公道で行われるため、ロボットのすぐ横を自転車が通過することもある。トライアルのゴール間近で、宇都宮大学尾崎研究室A MAUVティームの「MAUV」のすぐ横を自転車が通り駆けていった
MAUVも1回目の走行で、トライアルに成功。タイムは13分16秒
Team AMSL Racing(明治大学黒田研究室)ティームの「infant」も、1回目の走行でトライアルに成功。タイムは10分15秒だ
九州工業大学ティームCIR-KITティームの「KIT-C3」。セニアカーベースのロボットだ。見事に1回目の走行でトライアルを達成。タイムは9分42秒
圭司と愉快な仲間たち2010ティームの「El-verde」。走行中に可愛い声でアナウンスすることが特徴。1回目の走行でトライアルに成功。タイムは8分52秒
中国能開大ロボット研究会ティームの「たまやん2改」。1回目のトライアルは85m地点でコーンにぶつかりリタイヤとなった
千葉工業大学fuRoアウトドア部ティームの「Papyrus Ⅲ」。1回目の走行でトライアルを達成。タイムは7分22秒
(つづく)
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~64ティーム中31ティームが約240mのトライアル走行に成功
つくばチャレンジは、自律型ロボットが実際に人が生活する「実環境」の中で、「安全かつ確実に動く」ことを目指す技術チャレンジだ。第1回つくばチャレンジは、2007年11月に開催され、今回のつくばチャレンジ2010で4回目となる。つくばチャレンジは、トライアル走行とファイナル走行に分けられ、トライアル走行をクリアしたティームのみが、翌日のファイナル走行に挑戦できる。ここではまず、11月18日におこなわれたトライアル走行の様子をレポートする。
●トライアルの距離が約240mに延長
つくばチャレンジは、ロボット技術を向上させるために行われている技術チャレンジであり、その趣旨の元、毎年課題の難易度が上がっている。トライアル走行は、ファイナル走行のコースの一部(スタートから途中まで)を用いて行われるが、2007年と2008年の2007年と2008年のトライアル走行の距離は約100mであった。昨年はトライアル走行の距離が約140mに延び、今回はさらに約240m(実際は244m)と大きく延長された。また、コースの路面状況のバリエーションも増え、課題の難易度はさらに上がったといえる。
開会式に先だって、安全管理責任者ミーティングが行われた。大会委員長の油田教授からは、「安全管理責任者は、周囲の安全に気をつけるのはもちろんだが、余裕があったら、観客に説明するなど、広報的な役割も果たして欲しい」というコメントがあった。
つくばチャレンジでは、2008年からインターネットでのオンライン生中継が行われていたが、今年は新たな試みとしてUstreamによるビデオ映像配信とTwitterによるテキスト配信が行われた。Ustream配信にはiPhone 4が用いられており、その高い機動性を活かして、つくばチャレンジの状況を的確に中継していた。
つくばチャレンジ2010のコース。トライアルの距離は約240mで、ファイナルの距離は約1.1kmである
開会式に先だって、エキスポセンター屋外広場で安全管理責任者ミーティングが行われた
つくばチャレンジ2010では、新たな試みとしてUstreamによるビデオ映像配信とTwitterによるテキスト配信が行われた。Ustream配信には、数台のiPhone 4が用いられた
●1回目の走行で26ティームが達成
午前10時に開会式が行われ、大会委員長の油田教授が挨拶を行い、「現在のロボットは自動的に道を考えて進む段階ではなく、その前の段階、つまりコースは前もって与えられており、そのコースに従って進んでいくという段階だが、このはじめの一歩が非常に重要だ。今回はロボットにとってはかなり難しい課題であり、ロボットの健闘を祈りたい」とコメントした。
開会式終了後、順次トライアル走行がスタートした。前述したように、今回のトライアルのコースは約240mで、スタート間隔は3分である。スタートの合図があった時点から、タイムの計測を開始し、5分以内にスタートできないと失格となる。また、トライアル走行の制限時間は25分間で、スタートの合図から25分以内にトライアルのゴール地点に到達しなくてはならない。つくばチャレンジ2010のエントリーティームは合計70だが、途中で出場を棄権したティームや、当日棄権したティームもあり、実際にトライアル走行にチャレンジしたのは、全64ティームである。
つくばチャレンジも今回で4回目となるため、参加ロボットのレベルが格段に上がっており、距離が約240mに延びたトライアル走行も1回目で26ティームがクリアした。今回のコースは、平日でも人や自転車の往来があり、ロボットのすぐそばを自転車が通り抜けていくシーンも見られた。
午前10時に開会式が行われ、大会委員長の油田教授が挨拶を行った
最初にスタートしたのは、早稲田大学TARO-GPティームの「JIRO」
順調にコースを進むJIRO
最初に走行したJIROが見事にトライアル達成。タイムは4分2秒とかなり速い
電気通信大学知能システム学講座ティームの「CARTIS TypeR」も、1回目の走行でトライアルに成功。タイムは5分16秒だ
日立製作所機会研究所ティームの「Sofara-T」。高速で安定した走行で、トライアルを達成。タイムは3分49秒で最も速かった
OSHINOBI(京都大学、電気通信大学)ティームの「ぎんかくん」も1回目の走行でトライアルに成功。セグウェイベースのロボットだ。タイムは6分38秒
東北大学田所研ティームの「anemone''」。前回のファイナルを完走した実績を持っており、今年も1回目の走行でトライアルを達成。こちらもセグウェイベースのロボットだ
つくばチャレンジは、実際に人や自転車などが往来する公道で行われるため、ロボットのすぐ横を自転車が通過することもある。トライアルのゴール間近で、宇都宮大学尾崎研究室A MAUVティームの「MAUV」のすぐ横を自転車が通り駆けていった
MAUVも1回目の走行で、トライアルに成功。タイムは13分16秒
Team AMSL Racing(明治大学黒田研究室)ティームの「infant」も、1回目の走行でトライアルに成功。タイムは10分15秒だ
九州工業大学ティームCIR-KITティームの「KIT-C3」。セニアカーベースのロボットだ。見事に1回目の走行でトライアルを達成。タイムは9分42秒
圭司と愉快な仲間たち2010ティームの「El-verde」。走行中に可愛い声でアナウンスすることが特徴。1回目の走行でトライアルに成功。タイムは8分52秒
中国能開大ロボット研究会ティームの「たまやん2改」。1回目のトライアルは85m地点でコーンにぶつかりリタイヤとなった
千葉工業大学fuRoアウトドア部ティームの「Papyrus Ⅲ」。1回目の走行でトライアルを達成。タイムは7分22秒
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