「つくばチャレンジ2011ファイナル走行」レポート
~5年間の総決算となる約1.4kmのコースを6ティームが完走し、課題を達成!
つくばチャレンジは、自ら考え行動する自律型ロボットが「実環境」の中で、「安全かつ確実に動く」ことを目指す技術チャレンジである。今回のつくばチャレンジ2011は、5回目の開催であり、過去5年間の総決算となるチャレンジだ。ここでは、11月16日に行われたファイナル走行の様子をレポートする。
●エレベーターへの乗り降りが新たな課題に
つくばチャレンジ2011ファイナル走行のコースは、これまでで最長の約1.4kmであり、新たにエレベーターへの乗り降りが課題として設定されるなど、総決算にふさわしい難易度となっている。ファイナル走行のコースは、つくばエキスポセンターを起点に、つくば公園通り~つくば中央公園内の遊歩道~再びつくば公園通りを経て、つくば駅前プラザを周回し、一般の人が使うエレベーターで1Fに降り、つくばセンターの屋内商店街(アイアイモール)の廊下を周回して、アイアイモール1Fの屋外広場に出て、緩やかな狭いスロープを上ってゴールするというものだ。バラエティに富んだコースだが、中でも、エレベーターへの乗り降りは、これまでになかった課題であり、いかにクリアするかがファイナル走行達成のためのポイントとなる。
ファイナル走行には、前日行われた約500mのトライアル走行に成功した23ティームと、ゴールには到達しなかったものの、最も惜しかった次点ティームの合計24ティームが出走した(次点ティームは2つあったが、1ティームは棄権)。
開会式では、大会委員長である油田教授が「今年は去年に比べてレベルが上がった。言い訳をしないで、成果を期待したい」と、参加者にエールを送った。次に、つくば市の市原健一市長が、「つくば市はロボットの特区申請を行い、ロボットの街作りを目指している。つくばチャレンジは当初の約束通り、5年間で一区切りとなるが、つくばにとって大切な大会であり、今後も市をあげて支援したい」と挨拶を行った。
最初に大会委員長の油田教授が挨拶を行った
次に、市原つくば市長が挨拶を行った
ゴール手前の緩やかなスロープ。幅が狭いので、大型ロボットでは高い位置決め精度が要求される
スロープを上った先にゴールが用意されている
●昨年と同じく、出走順はランダムに
つくばチャレンジ2011のファイナル走行の出走順は、前回と同様に、次点となったティームが一番最初に出走し、トライアル走行を達成したティームはランダム(くじびき)で出走順が決められた。なお、2回のチャレンジが可能であったトライアル走行とは異なり、ファイナル走行のチャンスは1回のみだ。
トライアル走行で次点となった横浜国立大学藤本研究室ティームの「PeGASuS」が、最初に走行したが、残念ながら545m地点でリタイヤ
東北大学田所研ティームの「メカ崎さん」。スタート直後の植え込みギリギリを通過していった
●エレベーターとスロープが難関
今回のコースの中でも、特に難しかったのが、エレベーターへの搭乗と、ゴール手前のスロープである。エレベーターはそれほど広くないため、大型ロボットではサイズ的にかなりギリギリである。エレベーターへのアプローチの仕方も、ロボットによってさまざまであり、切り返してバックで入るロボットや、その場で旋回してバックで入るロボットなど、見応えがあった。
筑波大学知能ロボット研究室屋外組2011ティームの「ひとつぼ」は、エレベーターへのアプローチの角度がずれ、1225m地点でリタイヤ。また、エレベーターを無事にクリアしたものの、最後のスロープで躓くロボットもあった。早稲田大学TARO-GPティームの「JIRO」とつくば知能ロボット研究会の「Rossy」は、どちらもスロープへの進入角度がずれてしまい、スロープ入り口でリタイヤしてしまった。
筑波大学知能ロボット研究室屋外組2011ティームの「ひとつぼ」。エレベーターへのアプローチの角度がずれ、1225m地点でリタイヤ
早稲田大学TARO-GPティームの「JIRO」。コース後半のつくばセンター広場の一時停止線の前で止まり、安全確認後再スタートする様子
今回の課題にはさまざまな難関があるが、その中でも難易度が高いのがエレベーターへの搭乗である。JIROは、いったんエレベーターの前に進み、バックでエレベーターの中に入っていく
JIROは比較的大型のロボットであり、エレベーターに乗り込むにはかなりギリギリの大きさだが、見事にエレベーターに乗り込んでいった
エレベーターで1Fに降りた後、アイアイモール内を移動するJIRO
JIROは、障害物にぶつかりそうになると、バックして切り返すことができる
アイアイモールの中のロータリーをUターンして戻っていくJIRO
アイアイモールの1Fから屋外広場に出るJIRO。ここのドアを抜けるのも難関の一つだ
最後の難関である、ゴール手前の円弧状のスロープへの進入角度がずれてしまい、1420m地点で無念のリタイヤ
JIROは試走会ではゴールまで走破していたのだが、GPSが収束する前に再スタートしたため、角度がずれてしまったとのことだ
つくば知能ロボット研究会ティームの「Rossy」
Rossyも、スロープの入り口でリタイヤしてしまった
(つづく)
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~5年間の総決算となる約1.4kmのコースを6ティームが完走し、課題を達成!
つくばチャレンジは、自ら考え行動する自律型ロボットが「実環境」の中で、「安全かつ確実に動く」ことを目指す技術チャレンジである。今回のつくばチャレンジ2011は、5回目の開催であり、過去5年間の総決算となるチャレンジだ。ここでは、11月16日に行われたファイナル走行の様子をレポートする。
●エレベーターへの乗り降りが新たな課題に
つくばチャレンジ2011ファイナル走行のコースは、これまでで最長の約1.4kmであり、新たにエレベーターへの乗り降りが課題として設定されるなど、総決算にふさわしい難易度となっている。ファイナル走行のコースは、つくばエキスポセンターを起点に、つくば公園通り~つくば中央公園内の遊歩道~再びつくば公園通りを経て、つくば駅前プラザを周回し、一般の人が使うエレベーターで1Fに降り、つくばセンターの屋内商店街(アイアイモール)の廊下を周回して、アイアイモール1Fの屋外広場に出て、緩やかな狭いスロープを上ってゴールするというものだ。バラエティに富んだコースだが、中でも、エレベーターへの乗り降りは、これまでになかった課題であり、いかにクリアするかがファイナル走行達成のためのポイントとなる。
ファイナル走行には、前日行われた約500mのトライアル走行に成功した23ティームと、ゴールには到達しなかったものの、最も惜しかった次点ティームの合計24ティームが出走した(次点ティームは2つあったが、1ティームは棄権)。
開会式では、大会委員長である油田教授が「今年は去年に比べてレベルが上がった。言い訳をしないで、成果を期待したい」と、参加者にエールを送った。次に、つくば市の市原健一市長が、「つくば市はロボットの特区申請を行い、ロボットの街作りを目指している。つくばチャレンジは当初の約束通り、5年間で一区切りとなるが、つくばにとって大切な大会であり、今後も市をあげて支援したい」と挨拶を行った。
最初に大会委員長の油田教授が挨拶を行った
次に、市原つくば市長が挨拶を行った
ゴール手前の緩やかなスロープ。幅が狭いので、大型ロボットでは高い位置決め精度が要求される
スロープを上った先にゴールが用意されている
●昨年と同じく、出走順はランダムに
つくばチャレンジ2011のファイナル走行の出走順は、前回と同様に、次点となったティームが一番最初に出走し、トライアル走行を達成したティームはランダム(くじびき)で出走順が決められた。なお、2回のチャレンジが可能であったトライアル走行とは異なり、ファイナル走行のチャンスは1回のみだ。
トライアル走行で次点となった横浜国立大学藤本研究室ティームの「PeGASuS」が、最初に走行したが、残念ながら545m地点でリタイヤ
東北大学田所研ティームの「メカ崎さん」。スタート直後の植え込みギリギリを通過していった
●エレベーターとスロープが難関
今回のコースの中でも、特に難しかったのが、エレベーターへの搭乗と、ゴール手前のスロープである。エレベーターはそれほど広くないため、大型ロボットではサイズ的にかなりギリギリである。エレベーターへのアプローチの仕方も、ロボットによってさまざまであり、切り返してバックで入るロボットや、その場で旋回してバックで入るロボットなど、見応えがあった。
筑波大学知能ロボット研究室屋外組2011ティームの「ひとつぼ」は、エレベーターへのアプローチの角度がずれ、1225m地点でリタイヤ。また、エレベーターを無事にクリアしたものの、最後のスロープで躓くロボットもあった。早稲田大学TARO-GPティームの「JIRO」とつくば知能ロボット研究会の「Rossy」は、どちらもスロープへの進入角度がずれてしまい、スロープ入り口でリタイヤしてしまった。
筑波大学知能ロボット研究室屋外組2011ティームの「ひとつぼ」。エレベーターへのアプローチの角度がずれ、1225m地点でリタイヤ
早稲田大学TARO-GPティームの「JIRO」。コース後半のつくばセンター広場の一時停止線の前で止まり、安全確認後再スタートする様子
今回の課題にはさまざまな難関があるが、その中でも難易度が高いのがエレベーターへの搭乗である。JIROは、いったんエレベーターの前に進み、バックでエレベーターの中に入っていく
JIROは比較的大型のロボットであり、エレベーターに乗り込むにはかなりギリギリの大きさだが、見事にエレベーターに乗り込んでいった
エレベーターで1Fに降りた後、アイアイモール内を移動するJIRO
JIROは、障害物にぶつかりそうになると、バックして切り返すことができる
アイアイモールの中のロータリーをUターンして戻っていくJIRO
アイアイモールの1Fから屋外広場に出るJIRO。ここのドアを抜けるのも難関の一つだ
最後の難関である、ゴール手前の円弧状のスロープへの進入角度がずれてしまい、1420m地点で無念のリタイヤ
JIROは試走会ではゴールまで走破していたのだが、GPSが収束する前に再スタートしたため、角度がずれてしまったとのことだ
つくば知能ロボット研究会ティームの「Rossy」
Rossyも、スロープの入り口でリタイヤしてしまった
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