事務局の中川です。
2024年10月16日に開催されたエクアドルのマイクロマウス大会に参加してきました。異文化に触れ、新しい学びや気づきを得た今回の体験を振り返りつつ、エクアドルという国、現地でのマイクロマウス大会、そして国際交流の視点から大会参加レポートをお伝えします。
エクアドルについて
エクアドルは南米の赤道直下に位置する国で、多様な自然と文化が魅力です。使われている言語はスペイン語。通貨はアメリカドルが使えます。日本からエクアドルには直行便がないので、一般的にはアメリカか、カナダを経由してのフライトになります。今回は、成田⇒モントリオール(カナダ)⇒ニューヨーク(米国)⇒キト(エクアドルの首都)というトランジット込みで26時間かけてのフライトでした。大会会場はクエンカ大学で開催なので、キトから飛行機に乗ってさらに移動です。今回はアールティの代理店の方にも会うので、アールティからも根上さんが同行してくれました。
エクアドルの首都キトは標高2,800mを超える高地にあり、到着直後から空気の薄さと気圧の低さを感じることになります。富士山の5合目の標高が大体2,300-2,400mですから、けっこうな高地だというイメージをもってもらえるでしょうか?私は高山病症状はほとんど出なかったので、ラッキーでした。高地での体調を表現するならば、ちょっとふわっとした体調だなぁとか、普通に歩いてるだけなのに息が切れるな?という程度でした。そして、赤道直下なので日差しは日本の8月のギラギラした感じなのに、標高が高いのと湿気が少ないので涼しいというちょっと日本では味わえない気候を楽しんできました。(体調を崩される方は本当に厳しい状況になるそうです。観光に行く山の方は普通に3,000m超え、4,000m超えがあるそうなので、行かれる方は体を慣れさせる日数を入れるなどして旅程を工夫されることをお勧めします。)
キトは、街並みに古い時代の面影が色濃く残っているところです。
高地なのもあり、アップダウンが多く、日本の長崎のように坂の多い町でした。
ぜひ観光にも行ってみてください。(なぜ空港のポスターの写真に三つ指ナマケモノとか動物が写真でいっぱいいるのかな、とか思いながら歩いてたのですが、ガラパゴス諸島があるのがエクアドルだそうです。そのため、観光地としても人気があります。)
首都キトの高台からの眺め
首都キトの旧市街の様子
エクアドルのマイクロマウス大会
エクアドルで行われたマイクロマウス大会は、今回が初開催となります。IEEEの学会開催と同時開催で地元のArtil Roboticsのマルセロ社長が中心に大会を開催してくださり、大学を中心にはじめて開催されることになりました。初回でもあり、参加者は4名の学生や技術者でした。会場はIEEEの学会と併設(写真が入口)で、今回が初回でまだまだ小さい大会でもあり、準備ブースがなかったりなど、今大会からが大会の歴史の1ページ目を書いていくような雰囲気を感じました。私も大会をいろいろ開催する側として経験しているので、これから始まる!というワクワクさを感じました。大会自体は、参加者が5×5の迷路を完走するのがやっとの競技ではありましたが、参加者の方々はどなたもとてもエネルギッシュでした。参加者のそれぞれ競技にかける情熱が伝わってきました。
会場入り口
IEEE Equador Section
特に印象的だったのは、参加者たちが非常にクリエイティブなアプローチで問題解決をしていたことです。聞くと、あまり技術情報が入ってこないとのことでしたが、超音波を使ったハードウェアの工夫やアルゴリズムの最適化、さらには独自のアイデアを実現するためにそれぞれ参加者同士でも情報交換するなどもしているそうです。システマチックに運営されている日本の大会や、コミュニティがある程度出来上がっている日本の参加者交流とはまた違い、情報が少ない中でがんばって大会をやるんだ!という意識と、IEEEの会場を借りて開催して多くの人に見ていただいて参加者を増やしたい!というダイナミズムを感じました。
大会参加者と主催のマルセロさん(左から3番目)、中川(左から2番目)
国際交流
私たちも大会後には、日本から持参したマイクロマウス(ハーフサイズ)等を見せながら、IEEEの参加者とも技術について語り合う機会もありました。彼らは日本の技術や文化に強い関心を持っており、お互いに知識を共有する貴重な時間となりました。
日本に行く支援体制もあるそうなので、日本の大会にもぜひ来ていただけるよう大会主催のマルセロさんたちとも打ち合わせをしてきました
今回の大会参加を通じて、国際交流の重要性を改めて実感しました。IEEEの学会でもありましたので、私もアールティの会社で作っている人型ロボットや、日本のマイクロマウスの紹介等も含めて講演もしてきました。
私はスペイン語ができないので英語か日本語でスペイン語に通訳してもらう、向こうは英語ができる人できない人等もいて、言葉の壁を超えてコミュニケーションを取ることは簡単ではありませんでしたが、共通の技術的関心が強い絆を生み出したと実感できました。
講演後に司会の先生たちと(記念品としていただいたクエンカの名産品パナマ帽をかぶって撮影)
また、現地の方々のホスピタリティには感激しました。大会運営者や現地のアールティの代理店の方々が親切にサポートしてくれたおかげで、マイクロマウス大会だけでなく現地の大学やエクアドルー日本の交流をしている企業の方々ともお会いすることができ、滞在中はスムーズに過ごせました。こうした交流を通じて、技術を通じた相互のつながりを深めることの価値を再認識しました。
おわりに
私が訪れたルートは、キト(首都)⇒クエンカ(大会会場のある地域)でした。温暖な気候とフレンドリーな人々に迎えられ、滞在中ずっと心地よい時間を過ごせました。エクアドルのおいしいものは、豚肉をあげたチチャロン、魚介を使った料理やトウモロコシ、青バナナを使った料理等があげられます。どれもはじめて食べる料理ばかりで、私にとっては新鮮な体験でした。特に青バナナは私は気に入りました。日本にはほとんどないですが、プラーターンと言って甘くない青バナナはお芋みたいな味です。お土産に青バナナチップを買い込みました!
エクアドルのマイクロマウス大会へ見学者として参加することで、現地の方々との交流ができ、また、マイクロマウスやロボトレースの普及活動としてもアピールできたという実感がありました。こうした経験は、自分自身の視野を広げるだけでなく、日本とエクアドルとの架け橋としての役割を果たす一歩にもなったと感じています。
これからもこのような国際的な活動に積極的に関わり、日本のマイクロマウスやロボトレースを広めるとともに、新たな学びを得ていきたいと思います。
皆さんも、もし、海外大会に出場したい、と思い立ったら遠慮なく事務局に相談してください。